易の爻の読み方|初爻から上爻までの意味

易の爻(こう)とは、卦を作る6本の線の一本一本のことで、一本につながった陽爻と、真ん中が切れた陰爻の2種類があります。爻は下から初爻・二爻・三爻・四爻・五爻・上爻と数え、位置ごとに物事の始まりから行き着く先までの段階を表すので、占いでは変爻の位置と爻辞から「今どの段階にいて、どう動くとよいか」を読みます。

この記事の要点

  • 爻は卦を作る6本の線で、陽爻と陰爻がある
  • 初爻は始まり、五爻は盛り、上爻は行き過ぎを表す
  • 二爻と五爻は「中」にあたる穏やかな位置
  • 変爻は硬貨なら合計6と9、略筮法は6で割った余り
  • 爻辞は「象」と「判断」の二つに分けて読む

爻とは(陰爻・陽爻)

爻(こう)は、易の卦を形づくる線のことです。一本につながった線が陽爻(ようこう)、真ん中が切れて二つに分かれた線が陰爻(いんこう)で、6本の爻が重なって一つの卦ができます。「爻」の字は線が交わる様子をかたどったもので、易の解説書である繋辞伝は、爻を天下の動きをなぞるものだと説いています。卦がその時の全体の状況を表すのに対して、爻はその中の一人ひとりの立場や、事態の一歩一歩の動きを表します。卦全体の組み立ては易の卦の読み方で解説しています。

易経の本文では、陽爻を「九」、陰爻を「六」という数で呼びます。筮竹で占うと、一本の爻ごとに6・7・8・9のどれかの数が出ます。奇数の7と9が陽、偶数の6と8が陰で、9は陽が極まって陰に変わろうとする老陽、6は陰が極まって陽に変わろうとする老陰です。易経が変化を読む書であることから、変わる力を持つ9と6が、陽と陰の代表として爻の名前に使われています。

爻の名前は、陰陽の数と位置を組み合わせて作ります。一番下と一番上は位置を先に言って「初九」「初六」「上九」「上六」、二番目から五番目は数を先に言って「九二」「六三」「九五」のように呼びます。名前を見るだけで、何番目の線が陽か陰かが分かる仕組みです。

初爻から上爻までの位置の意味

6本の爻は、下から上へ進むにつれて、物事の段階が進んでいく様子を表します。同時に、昔の社会の身分になぞらえて、それぞれの位置にふさわしい立場も割り当てられています。

初爻は物事の始まりで、まだ表に出ていない段階です。立場でいえば世に出る前の人や新人にあたり、力を蓄えて準備する位置です。二爻は下卦の真ん中で、実力が周りに認められ始める段階です。現場の中心で働く人の位置で、上の五爻と呼応して引き立てを受けます。三爻は下卦の一番上で、内から外へ移る境目です。勢い余って無理をしやすく、易経でも危うさを説く言葉が多く付いています。

四爻は上卦に入ったばかりの位置で、トップのすぐそばに仕える人にあたります。上の意向を気にしながら進むため、迷いや慎みを説く言葉がよく出てきます。五爻は上卦の真ん中で、その卦がいちばん充実する位置です。君主やリーダーにあたり、卦の主役になることの多い爻です。上爻は卦の行き着く先で、物事が極まり、次へ移ろうとする段階です。第一線を退いた人の位置でもあり、行き過ぎや引き際を説く言葉が付きます。

易経の爻辞は、この位置の性質を踏まえて書かれています。同じ「進む」という言葉でも、初爻なら「まだ早い」、五爻なら「今こそ」、上爻なら「行き過ぎに注意」と、位置によって重みが変わります。

爻の位置と意味
位置陽のとき/陰のとき物事の段階立場のたとえ読むときの要点
初爻初九/初六始まり・準備世に出る前の人、新人焦らず力を蓄える
二爻九二/六二力が認められ始める現場の中心にいる人中を守り、上の引き立てを待つ
三爻九三/六三内から外への境目中間でまとめる人勢いを抑え、無理をしない
四爻九四/六四外の世界に入った直後トップのそばの補佐役慎み深く、上との関係を大切にする
五爻九五/六五最も充実した時君主・リーダー卦の主役。中を守って力を生かす
上爻上九/上六極まり・行き着く先第一線を退いた人行き過ぎを戒め、引き際を考える

爻どうしの関係(中・正・応・比)

爻を読むときは、一本の位置だけでなく、ほかの爻との関係も手がかりにします。よく使うのは次の四つです。

たとえば水天需の五爻は、上卦の真ん中にある陽爻で、奇数の位置に陽がある正の爻でもあります。中と正を兼ねた爻はとりわけ安定した位置で、需の五爻には「酒食に需つ。貞にして吉」という落ち着いた言葉が付いています。反対に、中でも正でもない位置の爻は、自分の立場と性質がずれている状態として読み、背伸びをしない振る舞いを心がけます。

変爻の見つけ方

変爻(へんこう)は、6本の爻のうち、陰から陽へ、または陽から陰へ変わろうとしている爻です。問いへの直接の答えは変爻に表れるので、どの爻が変爻かを正しく見つけることが、爻を読む出発点になります。見つけ方は卦の出し方によって違います。

変爻が複数あるときの読み方にはいくつかの決まりがあり、宋の時代にまとめられた次の読み方がよく知られています。

初めのうちは、変爻が1本だけ出る略筮法で練習すると、爻辞と問いの結びつきをつかみやすくなります。

爻辞の読み方

爻辞は短い言葉ですが、多くは「象」と「判断」の二つの部分でできています。象は、龍や馬、霜や泥のような具体的な情景で、今の状況をたとえたものです。判断は、吉・凶・咎なし・吝などの言葉や、「大川を渉るに利ろし」のような行動の指針です。

乾為天の九二「見龍田に在り。大人を見るに利ろし」で言えば、前半が象、後半が判断です。地上の田に姿を現した龍という情景から、力が周りに見え始めた段階だと読み、判断の言葉から、力のある人に会って引き立てを得るとよいと受け取ります。

爻辞を自分の問いに当てはめるときは、次の順で考えると読みが具体的になります。

  1. 象の情景を思い浮かべ、自分の状況の何に当たるかを考える
  2. 判断の言葉から、進む・待つ・退くのどれが勧められているかをつかむ
  3. 爻の位置(始まりか、盛りか、行き過ぎか)と照らし合わせる
  4. 之卦を見て、その振る舞いの先にどんな状況が来るかを確かめる

易経には、爻辞一つひとつを短く解説した小象伝も付いています。爻辞の意味がつかみにくいときは、小象伝の言葉や解説書の現代語訳を合わせて読むと、情景が問いと結びつきやすくなります。それでも読みが定まらないときは、問いの背景を誰かに話してみると、象の何が自分に当たるのかが見えてくることがあります。

乾為天の六爻を例に

爻の位置の意味をいちばんつかみやすいのが、6本すべてが陽の乾為天です。乾為天の爻辞は、龍が水に潜む姿から天を飛ぶ姿までを順に描いていて、一つの物事が始まりから極まりへ進む道筋が、そのまま6つの段階になっています。

たとえば「昇進の話を受けるか」と占って乾為天の九四が出たら、跳ぶ力はあるものの、跳ぶか待つかを自分で見極める時だと読めます。之卦は風天小畜(小さな足止め・少しずつ蓄える)なので、すぐに飛びつくより、もう少し準備を重ねてから受けるほうが安定すると読み取れます。同じ問いで九五が出れば、力を発揮する舞台が整っている時です。各爻の詳しい読み方は乾為天の意味で扱っています。

よくある質問

易の爻は何と読みますか

「こう」と読みます。陽の爻は陽爻(ようこう)、陰の爻は陰爻(いんこう)、変わる爻は変爻(へんこう)、爻に付いた言葉は爻辞(こうじ)です。一番下の初爻は「しょこう」、一番上の上爻は「じょうこう」と読みます。

変爻がないときはどう読みますか

変爻がないときは、本卦の卦辞を中心に読みます。状況がすぐには動かず、今の卦が表す時がしばらく続くと受け取り、卦全体の心がけを大切にします。硬貨で占って変爻が出ないのはよくあることで、読み方の誤りではありません。

初九や六二の「九」「六」は何の数字ですか

陽爻と陰爻を表す数です。筮竹で占うと爻ごとに6から9の数が出て、9は変わろうとする陽、6は変わろうとする陰を表します。易経はこの変わる数を陽と陰の呼び名に使っていて、「九二」なら下から2番目が陽爻、「上六」なら一番上が陰爻という意味になります。

爻辞が自分の問いと関係なく思えるときはどうすればいいですか

爻辞の情景を言葉どおりに受け取らず、何のたとえなのかを考えます。「大川を渉る」は大きな決断や新しい挑戦、「穴」は身動きの取れない場所というように、象を自分の状況に置き換えると結びつきが見えてきます。爻の位置が表す段階と合わせて読むのも助けになります。

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