易の卦の読み方|八卦と六十四卦の成り立ち
易の卦(け・か)は、陰と陽の線を6本重ねた図形で、下の3本(下卦)と上の3本(上卦)がそれぞれ八卦のどれに当たるかによって、64通りのうちどの卦かが決まります。名前は「上卦の象+下卦の象+卦名」の順に読むので、上が水(坎)で下が雷(震)なら水雷屯(すいらいちゅん)です。線は下から上へ数え、一番下を初爻、一番上を上爻と呼びます。
この記事の要点
- 卦は陰陽の線6本で、下から上へ数える
- 下3本が下卦(内卦)、上3本が上卦(外卦)
- 名前は「上卦の象+下卦の象+卦名」の順に読む
- 卦辞は卦全体、爻辞は一本ずつの線の言葉
- 本卦は今の状況、之卦は事態の行き先を表す
易の卦とは|6本の線を下から読む
易の卦は、一本につながった陽爻と、真ん中が切れた陰爻を組み合わせた図形です。3本でできた卦を小成卦(しょうせいか)、6本でできた卦を大成卦(たいせいか)と呼び、小成卦が八卦、大成卦が六十四卦にあたります。易占いで答えとして出るのは6本の大成卦で、8つの八卦はその部品です。
卦は下から上へ読みます。草木が根元から枝先へ伸びるように、物事は下から始まり、上で極まると考えるからです。6本の線には下から初爻・二爻・三爻・四爻・五爻・上爻という名前があり、初爻が物事の始まり、上爻が行き着く先を表します。
6本のうち下の3本を下卦(かか)または内卦(ないか)、上の3本を上卦(じょうか)または外卦(がいか)と呼びます。内と外という呼び名のとおり、下卦は自分や身近なところ、上卦は相手や周りの状況として読むのが基本です。たとえば下卦が雷(震)、上卦が山(艮)の山雷頤は、下が動いて上が止まっている形で、上あごは動かず下あごだけが動く口の様子にたとえられます。二つの八卦がそれぞれ何をしているかを思い描くことが、卦を読む第一歩です。
八卦(乾・兌・離・震・巽・坎・艮・坤)
八卦は、陰陽の線3本の並び方の8通りです。乾・兌・離・震・巽・坎・艮・坤の順に1から8の番号を振るのが先天八卦の数え方で、略筮法で筮竹の余りから卦を決めるときも、この番号を使います。
形を覚えるには、日本で古くから使われてきた「乾三連・兌上絶・離中絶・震下連・巽下絶・坎中連・艮上連・坤三絶」という唱え方が便利です。連は線がつながった陽爻、絶は線が切れた陰爻のことで、どの位置が連か絶かを言うだけで形が浮かぶようにできています。
八卦には家族の役割も当てられています。乾は父、坤は母で、残りの6つは子どもです。陽が1本だけの震・坎・艮は息子、陰が1本だけの巽・離・兌は娘で、その1本が一番下にあれば長子、真ん中なら次子、一番上なら末っ子と読みます。数の少ない線がその卦の性格を決めるという、易の大切な見方がここに表れています。
八卦の方位は、住まいの考え方である八宅でも使われていて、生まれ年と性別から自分の八卦を求めるのが本命卦です。易占いで出る64の卦とは使い方が違いますが、八卦の象と性質は共通しています。
| 番号 | 八卦 | 覚え方 | 自然の象 | 性質 | 家族 | 後天八卦の方位 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 乾(けん)☰ | 乾三連 | 天 | 剛健 | 父 | 北西 |
| 2 | 兌(だ)☱ | 兌上絶 | 沢 | 喜び | 末の娘 | 西 |
| 3 | 離(り)☲ | 離中絶 | 火 | 明るさ | 次の娘 | 南 |
| 4 | 震(しん)☳ | 震下連 | 雷 | 動く | 長男 | 東 |
| 5 | 巽(そん)☴ | 巽下絶 | 風 | 従う | 長女 | 南東 |
| 6 | 坎(かん)☵ | 坎中連 | 水 | 困難 | 次の息子 | 北 |
| 7 | 艮(ごん)☶ | 艮上連 | 山 | 止まる | 末の息子 | 北東 |
| 8 | 坤(こん)☷ | 坤三絶 | 地 | 受け入れる | 母 | 南西 |
上卦と下卦で六十四卦になる
八卦を上下に二つ重ねると、8×8で64通りの大成卦ができます。同じ八卦を二つ重ねた8つは八純卦(はちじゅんか)と呼ばれ、乾為天・兌為沢・離為火・震為雷・巽為風・坎為水・艮為山・坤為地がこれにあたります。残りの56卦は、異なる二つの八卦の組み合わせです。
上と下のどちらに置くかで、卦の意味は大きく変わります。分かりやすいのが地天泰と天地否の対比です。地天泰は上に地、下に天を置いた卦で、重い地は下へ、軽い天は上へ向かうため、二つの気が行き交って通じ合う「安泰」の卦になります。反対に天地否は、天が上、地が下という見た目どおりの配置なのに、天はさらに上へ、地はさらに下へと離れていくので、互いが交わらない「ふさがり」の卦になります。
同じように、上に水、下に火を置いた水火既済は、火が水を温めて煮炊きができる「完成」の卦、上に火、下に水の火水未済は、火は上へ水は下へと遠ざかる「未完成」の卦です。卦を読むときは、二つの八卦の象を並べるだけでなく、それぞれがどちらへ動こうとしているかを思い浮かべると、名前の意味がすっと入ってきます。
卦の名前の読み方
卦の正式な名前は「上卦の象+下卦の象+卦名」の三つの部分でできています。山水蒙なら、上卦が山(艮)、下卦が水(坎)、卦名が「蒙」です。風天小畜や火天大有のように、卦名が2文字の卦もあります。八純卦だけは「乾を天と為す」という意味の乾為天(けんいてん)のように、「○為○」の形で呼びます。
易を学ぶ人どうしでは、卦名だけを取り出して「屯の卦」「蒙の卦」と呼ぶことも多く、易経の本文も卦名で見出しが立てられています。卦名は64の卦で重ならないので、卦名だけでどの卦か一つに決まります。
読み方で迷いやすい卦名を挙げておきます。
- 屯(ちゅん):水雷屯
- 遯(とん):天山遯
- 噬嗑(ぜいこう):火雷噬嗑
- 賁(ひ):山火賁
- 无妄(むぼう):天雷无妄
- 頤(い):山雷頤
- 睽(けい):火沢睽
- 蹇(けん):水山蹇
- 夬(かい):沢天夬
- 姤(こう):天風姤
- 中孚(ちゅうふ):風沢中孚
山風蠱(さんぷうこ)や地山謙(ちざんけん)のように、続けて読むと音がにごる卦もあります。64の卦の読みはすべて易経の六十四卦一覧に載せているので、出た卦の読み方に迷ったら一覧で確かめてください。
卦辞と爻辞
易経の本文は、卦ごとに卦辞(かじ)と爻辞(こうじ)でできています。卦辞は卦全体の意味を述べた言葉で、彖辞(たんじ)とも呼ばれます。爻辞は6本の線一本ずつに付けられた言葉で、64卦×6本で384の爻辞に、乾の用九と坤の用六を加えた言葉が並んでいます。
爻辞の見出しには、陽爻なら「九」、陰爻なら「六」の数を付けた名前が使われます。一番下と一番上は位置を先に言って「初九」「上六」、それ以外は数を先に言って「九二」「六四」のように呼びます。九と六は、筮竹で占うときに出る数のうち、変わる陽と変わる陰を表す数から来ています。
卦辞の例を挙げると、地天泰には「小往き大来る。吉にして亨る」とあります。小さなもの(陰)が去り、大きなもの(陽)がやってくる、通じ合う時だという意味です。易経にはさらに十翼という解説が付いていて、卦辞を解く彖伝(たんでん)、卦の象から心がけを説く象伝(しょうでん)などが、短い本文を読み解く助けになります。占いでは、変爻がなければ卦辞を、変爻があればその爻辞を中心に読みます。
本卦・之卦の見方
占って最初に出た卦を本卦(ほんか)といい、今の状況そのものを表します。本卦の中に変わる爻(変爻)があるときは、その線の陰陽を入れ替えてもう一つの卦を作ります。これが之卦(しか)で、変卦(へんか)とも呼ばれ、事態がこれから移っていく方向を示します。
たとえば水天需の五番目の爻が変爻なら、陽を陰に変えると上卦が坎から坤に替わり、之卦は地天泰になります。「待つ時」を表す需が、通じ合う泰へ移っていく流れなので、今は落ち着いて待つことが、やがて実りにつながると読めます。
本卦と之卦のほかにも、卦を別の角度から見る方法があります。
- 互卦(ごか):二爻〜四爻を下卦、三爻〜五爻を上卦にして作る卦。表に出ていない内側の事情を見る
- 綜卦(そうか):卦を上下逆さにした卦。相手の側から見た姿を表す
- 錯卦(さくか):6本の陰陽をすべて入れ替えた卦。物事の裏側を表す
水雷屯を上下逆さにすると山水蒙になるように、易経の並びでは綜卦どうしが隣り合っています。見方はいくつもありますが、初めは本卦と之卦の二つで十分です。読み方に迷ったら、出た卦と問いを書き出して、易に詳しい人と一緒に読み合わせると、自分の状況への当てはめ方が見えてきます。
よくある質問
- 卦は「け」と「か」のどちらで読みますか
どちらも正しい読み方で、言葉ごとに決まっています。八卦(はっけ)や本命卦(ほんめいけ)は「け」、卦辞(かじ)や大成卦(たいせいか)は「か」と読みます。一つの字に二つの読みがあると覚えておけば、どの本を読んでも戸惑いません。
- 易の卦は上と下のどちらから数えますか
下から数えます。一番下の線が初爻、一番上の線が上爻です。硬貨や筮竹で線を出すときも、最初に出た線を一番下に置き、順に上へ積み上げます。上から書き並べてしまうと別の卦になるので、記録するときは下から書く習慣をつけてください。
- 本命卦と易占いの卦は同じものですか
どちらも同じ八卦を使いますが、使い方が違います。本命卦は生まれ年と性別から8つの八卦のうち一つを求め、住まいの方位を考えるのに使います。易占いの卦は、問いを立てて筮竹や硬貨で64通りの中から一つを出し、その時の状況を読みます。
- 八卦を覚えるコツはありますか
「乾三連・兌上絶」のような唱え方で形を覚え、家族の役割で性格を覚えるのが近道です。乾が父で坤が母、陽が1本だけの卦が息子、陰が1本だけの卦が娘と分かれば、8つの性格がつながって頭に入ります。そのうえで天・沢・火・雷・風・水・山・地の象を重ねると、卦の名前もすぐ読めるようになります。
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