地天泰の意味|易経の卦辞と爻の読み方

地天泰は、天と地の気が交わって通じ合い、物事が安らかに調和する時を表す吉の卦です。卦辞は、小さなものが去って大きなものが来る、吉にして通じる時だと告げ、上り調子の流れを示します。この卦を得たら、通じ合う流れを生かして人と手を結び、同時に好調が永遠ではないことを心に留めておくことが答えです。

この記事の要点

  • 上卦は坤(地)、下卦は乾(天)で、天地の気が交わる形
  • 「泰」は安らかで通じ合うこと。上り調子の吉の卦
  • 内が強く外が柔らかい、もっとも調和のとれた配置
  • 九三は、平らなものもいつか傾くと好調の中の備えを説く
  • 上下を逆さにすると、ふさがる天地否になる

地天泰の成り立ち(上卦と下卦)

地天泰は、上卦が坤(☷・地)、下卦が乾(☰・天)の卦で、六十四卦の11番目です。読みは「ちてんたい」です。

本来、天は上に、地は下にあります。それがこの卦では逆になっていて、地が上、天が下にあります。一見さかさまに見えますが、易ではこれをもっともよい形と読みます。天の気は上へのぼり、地の気は下へ降りる性質を持つので、天が下、地が上にあると、二つの気がぶつかり合うように交わるからです。象伝が「天地交わるは泰なり」と述べるのはこのためです。

下の三本が陽、上の三本が陰で、内側に強さ、外側にやわらかさを持った形でもあります。芯がしっかりしていて人当たりは穏やか、という理想の姿です。十二か月に卦を当てはめる見方では、泰は旧暦の正月にあたり、陽の気が三つそろって春が開く時にあたります。新年を祝う「三陽開泰」という言葉は、この卦に由来します。

一つ前の天沢履で礼を守って踏み行ったあとに、安らぎが訪れるという流れで泰が置かれています。

卦辞が伝えること:小往き大来る

地天泰の卦辞は「泰は小往き大来る。吉にして亨る」です。易では陰を小、陽を大と呼びます。外の上卦に陰が退き、内の下卦に陽が入ってくる形を、小さなものが去って大きなものがやってくる、と言い表しています。

日々の暮らしに置きかえると、次のような時です。

泰のよさは、一人だけが得をする幸運ではなく、上と下、自分と相手が互いに通じ合うことで生まれる安らぎだという点です。だからこそ、この卦を得たら、自分から心を開いて人と交わることで、流れがさらに大きくなります。

一方で、易は好調を手放しでは喜びません。九三と上六の爻辞は、満ちたものはいつか欠けることを忘れないよう告げています。泰の時は、楽しむ時であると同時に、次に備える時でもあります。

恋愛・人間関係で地天泰を得たとき

地天泰は、恋愛や人との縁を占うときにとても心強い卦です。天と地が交わるように、二人の気持ちが行き来し合う状態を表します。

片思い・出会い

片思いで得たら、気持ちが通じやすい時です。これまで遠慮していた話題を出してみる、食事に誘ってみるなど、自分から心を開く一歩が、相手からの歩み寄りを引き出します。出会いを求める人には、人と人が交わる場に身を置くことがよい流れにつながる時です。家にこもらず、誘いには前向きに応じてください。

交際中・結婚

交際中なら、二人の関係が安定し、互いの役割が自然にかみ合っている状態です。結婚を占って出たなら、縁を結ぶのにふさわしい時を表します。六五の爻辞「帝乙妹を帰がしむ」は、身分の高い家から嫁ぐ縁組みを描いた言葉で、立場や家柄の違いを越えて結ばれることを吉としています。相手の家族との関係でも、こちらが謙虚に接すれば和やかにまとまります。

友人・家族・職場

人間関係全般では、立場の違う人どうしが通じ合う時です。上司と部下、親と子、先輩と後輩など、ふだん本音を言いにくい間柄でも、話し合えば理解が深まります。九二の「遐きを遺れず」は、遠くにいる人や疎遠になった人も忘れないことを勧めています。久しく連絡していない人に近況を送ってみるのもよい時です。

仕事・選択・お金・待ち人で得たとき

仕事で地天泰を得たら、物事が順調に通じる時を表します。上の人の理解が得られる、部署どうしの連携がうまくいく、取引先と良い関係が結べるなど、人と人がかみ合うことで成果が出る場面です。

初九の「茅を抜くに茹たり」は、茅を一本抜くと根がつながった仲間が一緒に抜けてくる様子です。一人で抜け駆けせず、仲間と連れ立って進むと吉だと読みます。

お金の面では、収支のめぐりがよく、安定している時です。好調なときほど、余裕のある分を少し取り分けておくと、九三の戒めを生かせます。待ち人は、よい知らせとともにやってきます。探し物は、上下が入れ替わった卦の形から、上に重ねた物の下や、ふだんと逆の場所にしまいこんでいないかを確かめると見つかります。好調の流れを保つ工夫は、運気を上げる方法でも紹介しています。

初爻から上爻までの読み方

地天泰の爻を下から順にたどると、六本の爻は、泰の時が始まり、盛りを迎え、やがて傾くまでの流れを一続きに描いています。

初九は「茅を抜くに茹たり。その彙をもってす。征けば吉」。根でつながった茅のように、仲間とともに進めば吉です。泰の始まりで、協力して動き出す時です。

九二は、荒れたものも包みこむ度量、大河を歩いて渡るほどの決断力、遠くの人を忘れない配慮、身内びいきをしない公平さを説き、それで中庸にかなうとします。泰を支える人の心得を示す爻です。

九三は「平らかなるものにして陂かざるはなく、往くものにして復らざるはなし。艱しみて貞なれば咎なし」。平らなものはいつか傾き、去ったものはいつか戻る。苦労を覚悟して正しさを守れば咎めはありません。泰の折り返し点です。

六四は、鳥が軽やかに舞い降りるように、富を誇らずに仲間とともに下と交わり、言われなくても誠実である姿です。

六五は「帝乙妹を帰がしむ。もって祉あり元いに吉」。高い立場の者がへりくだって下と結ぶことで、大きな幸いを得ます。

上六は、城壁が崩れて堀に戻る姿で、泰が極まって傾き始める段階です。軍を動かさず、身近な所から筋道を伝えるよう説き、正しくても恥を見ると戒めます。

地天泰 爻ごとの要点と之卦
爻要点変わると(之卦)
初九根でつながる茅のように仲間と進む。吉地風升
九二度量と公平さで中庸を保つ地火明夷
九三平らなものもいつか傾く。備えれば咎なし地沢臨
六四富を誇らず、下と誠実に交わる雷天大壮
六五へりくだって結ぶ縁。元いに吉水天需
上六城壁が崩れ泰が極まる。動かず備える山天大畜

変爻と之卦の見方

変爻が一つなら、その爻の言葉を中心に読み、陰陽を入れ替えた之卦を、事の行方として重ねて読みます。手順の全体は卦の読み方で確かめられます。

地天泰の之卦で目を引くのは、九三が変わって地沢臨になる場合と、上六が変わって山天大畜になる場合です。地沢臨は勢いがさらに増していく卦で、九三の戒めを守って備えれば、好調を広げていけることを示します。山天大畜は大きく蓄える卦で、崩れかけた城を前に動かず、力を蓄えて次に備える読みにつながります。九二が変わる地火明夷は、明るさが地中に隠れる卦で、好調の中にも見えない陰りが生じうることへの注意として読みます。

地天泰を上下逆さにしても、陰陽をすべて入れ替えても、次の卦である天地否になります。泰と否は、通じ合う時とふさがる時という、表と裏の関係にあります。泰の上六が否への入り口になり、否の上九が泰への入り口になるように、二つの卦は交互に巡ります。

好調の時ほど、自分の状況を客観的に見るのは難しくなります。信頼できる人に今の流れを話してみると、伸ばすべき所と備えるべき所の見極めがつきやすくなります。

よくある質問

地天泰はいい卦ですか

地天泰は、天地が交わって安らぎと調和が訪れる、六十四卦の中でも代表的な吉の卦です。人と通じ合うことで物事が順調に進む時を表します。ただし九三と上六は、好調が永遠ではないことへの備えを説いています。

地天泰の「小往き大来る」とはどういう意味ですか

易では陰を小、陽を大と呼び、陰が外へ去って陽が内に来る形を表しています。暮らしに置きかえると、小さな悩みが去って大きな実りがやってくる、上り調子の時という意味です。

地天泰が恋愛や結婚で出たらどう読みますか

二人の気持ちが行き来し、関係が安定する時を表します。結婚を占って出たなら、縁を結ぶのにふさわしい時です。六五の爻辞は立場の違いを越えて結ばれる縁を吉とし、謙虚に接することで相手の家族とも和やかにまとまることを示します。

地天泰と天地否はどういう関係ですか

地天泰を上下逆さにしても、陰陽を入れ替えても天地否になる、表裏の関係です。泰は天地が交わって通じる時、否は交わらずにふさがる時を表します。泰の極みから否へ、否の極みから泰へと、二つは交互に巡ります。

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