天火同人の意味|易経の卦辞と爻の読み方

天火同人は、私心を離れた開かれた場で、志を同じくする人と手を結ぶことを表す卦です。卦辞は、広い野で人と心を同じくすれば物事は通じ、大きな川を渡るような難しいことにも取り組めると告げます。この卦を得たら、身内や好みの近い人だけで固まらず、目的を共有できる人と広く協力することが答えです。

この記事の要点

  • 上卦は乾(天)、下卦は離(火)で、火が天に向かって燃える形
  • 「同人」は人と同じくすること。志を同じくする仲間を表す
  • 野、つまり開かれた場で私心なく協力することが吉の条件
  • 身内だけで固まる六二の「宗において」は狭さを戒める
  • 上下を逆さにすると、豊かさを保つ火天大有になる

天火同人の成り立ち(上卦と下卦)

天火同人は、上卦が乾(☰・天)、下卦が離(☲・火)の卦で、六十四卦の13番目です。読みは「てんかどうじん」です。

火は上へ上へと燃え上がり、天はもとより高い所にあります。上卦と下卦が同じ方向を向いている形で、そこから人と心を同じくする、という卦の名が生まれました。また、天の下で火が明るく辺りを照らす姿でもあり、物事をはっきり見分ける働きも含んでいます。象伝は「天と火とは同人なり」とし、君子はこれにならって、同じ種類のものをまとめ、物事を見分けると述べます。ただ仲よくするのではなく、同じくすべきものと区別すべきものを見極めることまでが、同人の意味です。

六本の爻のうち陰爻は下から2番目の六二だけで、この一つの陰に、五つの陽が心を寄せる形です。六二と九五はどちらも中の位置にあり、陰陽が応じ合う、理想的な組み合わせになっています。序卦伝は、物事はいつまでもふさがったままではいられないとして、天地否のあとに同人を置いています。閉ざされた時を抜けるのは、人と心を合わせることからだという流れです。

卦辞が伝えること:開かれた野で心を同じくする

天火同人の卦辞は「人に同じうするに野においてす。亨る。大川を渉るに利ろし。君子の貞に利ろし」です。

「野」は、町の外に広がる開けた土地のことです。内輪の集まりではなく、誰に対しても開かれた場所で、私心を持たずに人と協力するなら、物事は通じる。大きな川を渡るような、一人では手に負えない難しい事業にも取り組める。そして、それは君子が正しさを守る道にかなう、という意味です。

この卦が問いかけているのは、誰と、何のために手を結ぶのかです。

派閥や仲よしグループで固まって外の人を締め出すと、同人のよさは失われます。反対に、開かれた心で協力するなら、ふさがっていた状況も動き出します。

恋愛・人間関係で天火同人を得たとき

恋愛で天火同人が出たら、二人が同じ方向を向いているか、価値観や目指すものを分かち合えるかがテーマになります。友人や仲間との関係を占ったときにも、よく出る卦です。

片思い・出会い

片思いで得たら、共通の目標や趣味を通じて近づく時です。サークル、勉強会、ボランティアなど、同じ目的を持つ人が集まる場が出会いの場になります。九五の爻辞は「先には号咷し後には笑う」で、初めは障害に泣いても、最後には笑って結ばれる姿を描いています。すぐに思いが通じなくても、心を同じくできる相手なら、時間をかけて距離は縮まります。

交際中・結婚

交際中なら、二人が将来像を共有できているかを確かめる時です。住む場所、仕事との両立、お金の使い方など、具体的な話をしてみると、同じ方向を向いているかが分かります。繋辞伝はこの卦の九五について「二人心を同じうすれば、その利きこと金を断つ」と述べています。二人の心が一つになれば、金属をも断つほどの力になるという言葉で、結婚を考える二人にとって心強い一文です。

友人・仲間・コミュニティ

友人関係では、同じ志を持つ仲間とのつながりを表します。ただし六二の「人に同じうするに宗においてす。吝」が示すように、身内や古い仲間だけで固まるのは恥ずべき狭さです。新しく来た人を輪に招き入れる、違う意見を持つ人の話も聞くことで、仲間の力は大きくなります。誰と付き合うと心地よいかを考えるときは、友達との相性の見方も手がかりになります。

仕事・選択・お金・待ち人で得たとき

仕事で天火同人を得たら、協力して大きなことに取り組む時を表します。部署をまたぐプロジェクト、異業種との共同事業、地域や業界の仲間との取り組みなどがこの卦の場面です。

九三と九四は、六二を自分のものにしようと争う陽の姿です。九三は草むらに兵を伏せて三年も動けず、九四は城壁に登りながら攻めきれずに退いて吉となります。仲間内での主導権争いや、手柄の奪い合いに力を使わないことが、この卦の仕事の心得です。

お金の面では、仲間と力を合わせることで道が開ける時です。共同で費用を出すときは、取り決めを明文化しておくと、心を同じくしたまま続けられます。待ち人は、仲間や共通の知人を通じて現れます。探し物は、火と天の明るさから、日当たりのよい場所や明かりの近く、人が集まる共用の場所を探すと見つかります。

初爻から上爻までの読み方

天火同人の爻は、人と心を同じくする範囲がどこまで広がるかを、門・宗・野・郊という場所の言葉で描き分けています。

初九は「人に同じうするに門においてす。咎なし」。家の門を出たところで人と交わる姿です。私的な関係を離れて外に出る、同人の第一歩で、咎めはありません。

六二は「人に同じうするに宗においてす。吝」。一族の中だけで心を同じくする姿で、交わりが狭く、恥を見ます。卦の主でありながら、身内に閉じることを戒められる爻です。

九三は、草むらに兵を伏せて高い丘から様子をうかがうものの、三年たっても事を起こせない姿です。力ずくで人を従わせようとしても、うまくいきません。

九四は「その墉に乗るも、攻むる克わず。吉」。城壁に登りながら、道理に合わないと悟って攻めるのをやめるので吉です。

九五は「人に同じうするに先には号咷し後には笑う。大師克ちて相遇う」。間に立つ障害に初めは泣き叫ぶものの、大軍で打ち破って、ついに心を通わせた相手と出会い、笑い合います。

上九は「人に同じうするに郊においてす。悔なし」。町外れで人と交わる姿で、広い野にはまだ届かないものの、悔いはありません。

天火同人 爻ごとの要点と之卦
爻要点変わると(之卦)
初九門を出て人と交わる。咎なし天山遯
六二身内だけで固まる。吝乾為天
九三兵を伏せたまま三年動けない天雷无妄
九四城壁に登るが攻めずに退く。吉風火家人
九五初めは泣き、後に笑って出会う離為火
上九町外れで交わる。悔なし沢火革

変爻と之卦の見方

変爻が一つのときは、その爻を中心に読み、陰陽を入れ替えた之卦を、事の展開として添えます。手順の詳しい説明は卦の読み方にあります。

天火同人で特に大事なのは、六二が変わる場合です。ただ一つの陰が陽に変わると乾為天になり、六爻すべてが陽になります。身内に閉じていた心が開かれ、強い志で前へ進む姿に転じます。九五が変わる離為火は、明るさが重なる卦で、思いを通わせた二人や仲間が互いを照らし合う流れです。上九が変わる沢火革は、仲間と力を合わせて古いものを改める段階を示します。初九が変わる天山遯は、まだ交わる時ではないと見て、いったん身を引く流れです。

天火同人を上下逆さにすると、次の卦である火天大有になります。人と心を同じくした結果、多くの人や物が集まって豊かさを保つ、という流れです。また、陰陽をすべて入れ替えると地水師になります。同人が心を合わせる協調なら、師は規律で人を動かす統率で、仲間のまとまり方の二つの姿を表しています。

誰と手を結ぶべきかは、近すぎる関係の中にいると見えにくくなります。人間関係の状況を話して整理してもらうと、同じくすべき相手と距離を置くべき相手の区別がつきやすくなります。

よくある質問

天火同人は吉ですか

天火同人は、卦辞に「亨る」「大川を渉るに利ろし」とある吉の卦です。ただし、開かれた場で私心なく協力することが条件です。身内だけで固まる六二や、力で人を従わせようとする九三は戒めを含みます。

「人に同じうするに野においてす」とはどういう意味ですか

町の外に広がる野原のように、誰に対しても開かれた場で、私心を持たずに人と心を同じくする、という意味です。内輪の集まりや派閥ではなく、目的を共有できる人と広く手を結ぶことを勧めています。

天火同人が恋愛で出たらどう読みますか

二人が同じ方向を向けるかがテーマになる時です。共通の趣味や目標を通じて近づくと縁が深まります。九五の「先には号咷し後には笑う」が示すように、初めは障害があっても、心を同じくできる相手なら最後には笑い合えると読みます。

天火同人と火天大有の違いは何ですか

上下を逆さにした関係の卦です。天火同人は志を同じくする仲間と協力すること、火天大有はその結果として多くを集め、豊かさを保つことを表します。協力の段階が同人、実りを持つ段階が大有です。

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